9.重度の歯槽膿漏の症例

相当進行してしまった歯槽膿漏(歯周病)の場合,
やむを得ず全ての歯を抜歯してインプラントにする場合もあります.
歯科医師に総合的な力量が必要とされる症例です.

初診です.全ての歯が動揺しあちこちから膿が出ています.
他医院にて何年も歯槽膿漏の治療を続けられていました.


全ての歯の抜歯と同時に骨の調整と移植を行います.


抜歯後1週間です.


特殊な入れ歯を造りかみ合わせの修正と
インプラントの埋入位置を決めてゆきます.


当初,入れ歯は上下の正中が合わせてあったのですが
2〜3ヶ月の間に真中がこれだけ変化しました.
元来,歯が健康だった頃のかみ合わせを入れ歯で
再現すると正しいかみ合わせが蘇ります.
この位置でインプラントを埋入します.


一気に10本のインプラント埋入手術です.


術後1週間です.まったく痛みはありません.


インプラントが使えるようになるまでの3ヶ月間で
下の入れ歯はこのように上の入れ歯に削られてしまいます.
しかしこれでかみ合わせの位置が
患者様自身の筋肉で再現されてゆきます.


技工操作に入ります.


仮歯です.
下顎は既に入れ歯ではありません.
何でも食べることができます.


今度は上顎の作製にはいります.
ここまでで約一年です.


治療完了です.

<費用>

インプラントは保険外診療となるため症例によりインプラント一本につき275,000円〜423,500円の費用がかかります。

<主なリスク・副作用>

下歯槽神経を損傷による知覚異常。

インプラント手術の際に下顎神経に触れ神経を損傷・圧迫、切断がある場合はインプラントを撤去する場合があります。

上顎にインプラント治療を行う際に上顎洞に貫通した場合、感染が生じると上顎洞炎を引き起こす可能性があります。その際にはインプラントを除去し耳鼻咽喉科を紹介する事があります。

インプラントが骨に接着するまでに最低3ケ月〜6ケ月程度の治癒期間を要します。

インプラントを埋め込む骨の造成手術を行う場合さらに期間を要することもあります。

実際に骨の状態が著しく不良な場合は手術を断念する場合があります。

インプラント治療後は以下のような症状が見られる可能性があります。

正しい歯磨きを継続しないとインプラント周囲炎のリスクがあります。

強い外力が加わると(事故や転倒など)破折や脱落の可能性があります。

定期検診を継続し、クリーニングやかみ合わせチェックを行う必要があります。

外科的観血的手術になるので全身的既往歴のある方は手術が行えない場合があります。

喫煙者は成功率が著しく低下する場合があります。

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